夏休みの記事も最終回です。
Brunoの朝市から車を東へ走らせること4時間。
国際まんが祭りが有名なアングレーム、美しい陶器の産地リモージュを抜けます。
ふと左側を見ると深い緑の山に青い空、大きないくつもの雲。
写真で見たことのある火山ピュイ・ド・ドームでした。
日本でも愛飲されるミネラルウォーター、ボルヴィックも近くです。
火山地帯を走っているので緑の濃淡が楽しめます。
牛が草を食むのどかな景色、自然の生命力が鮮やかな山道。
フランスは海も山も自然が大きくて、その中を自分たちのペースで進む
車の旅は、最初は「長すぎて腰が痛くなる。」なんて言っていましたが
慣れればのんびりいいものです。
夏休み最後の1泊は主人が奮発してヴィシーの5つ星に宿を取ってくれました。
ヴィシーは温泉の街で訪れる年齢層も高め。
ゆっくりするのが目的なので、道行く人々も穏やかです。
着いて早々に長旅の疲れを湯船に浸かって落とします。
フランスの家やアパートはシャワーのみも珍しくなく、主人の実家も
お風呂はありません。久々のお風呂は沁みますね〜。
ひと心地着いたら最上階のプールへ。温泉を使っているので温かく
15分も泳いだら肌がつるつるになりました。
ベッドは硬すぎず柔らかすぎず、さすが!と思ったのがベッドメーキングの技術。
寝ているうちに掛け布団が足元の方にずり落ちて、肩が寒くて起きることが
ホテルに泊まると時々あります。
このホテルは朝起きた時もぴしっと元のまま。
実は動物園の隣のホテルが何とも映画にでてくるような典型的フランス人対応
(何か不手際があってもその会社・組織の顔だという意識がなく、
「悪いのは自分ではない」とお客さんに説明する)だったので、
ひとつひとつがきちんとしていることに甚く感動の我家でした。
散策と夕食に街歩き。
クラシカルな高い建物がない村に住んでいるので
小パリみたい!と興奮気味に写真を撮っていたら主人に笑われました。
長い夏休みとプールの疲れですんなり寝てくれて
寝顔を眺めながら主人とゆっくりお喋り。
この長い夏休みが始まる数日前、私達夫婦は思いもしなかった現実を
受け止めなければいけませんでした。
ころころが近視と乱視で一生眼鏡が必要だということを。
年始に保育園の先生から、「おもちゃなど、物を眼に近づけすぎる。」と
言われていたのですが、1歳と数か月で色々なものに興味がでてきたから
だろうと思っていました。
かかりつけの小児科医に目の動きを見てもらっても問題なし。
家での様子を見ていても、本を読んであげる時に2回ほど近づけたくらいで
転んだり、ぶつかったりもしません。
春先に再び保育園の先生に言われたので、2歳になるのを期に
評判のいい眼科に連絡をしたら3週間待ちでした。
そして診てもらったヴァカンス出発の5日前、眼鏡が必要だと判明。
一生。寝る時以外ずっと。
今までちゃんと見えてなかったんだね…あの時も、この時も。
コップを置く位置が手前すぎて「こぼすでしょ!」と
うるさく注意してごめんね。だってよく見えてなかったんだもんね。
先天的なもので、妊娠中の栄養や過ごし方・出産後の育て方に
問題があったわけではないと説明を受けても、主人とふたり
悲しくて悲しくて仕方がありませんでした。
その日は落ち込みましたが翌日から母さん頑張る!
朝ころころを保育園に送り開店と同時に村中の眼鏡屋4軒を回ります。
子供の耳や鼻に負担の軽いフレームはあるか。
受け取りまで何日かかるか。レンズと値段の関係。
ころころの目はかなり見えていなく、度がきついものが必要。
度がきついとレンズの厚みは増しますが、素材やお値段のいいものだと
技術でレンズも薄くでき、軽い眼鏡になるので耳や鼻の負担が減ります。
これらをフランス語で質問、アフターケアも必要だから店員さんの人柄も
含めて検討し、これという1軒を直感を信じて決定。
夕方ころころと主人をピックアップして、閉店前に運命の眼鏡屋へ。
一日でも早く、ちゃんとこの世を見せてあげたい。
どの店も3週間・1か月と夏休みを取るので、その前に手に入れたい。
火曜の夕方注文し、木曜日の夕方受け取りました。
何事も時間のかかるフランスで このスピードは奇跡だったと未だに思っています。
眼鏡屋さんで初めて眼鏡をかけて、見えるべく見えた時のころころの表情。
鏡で自分を、パパを、ママをじーっと見て、嬉しくて店内を踊りまわったこと。
ずっと忘れません。
そんなことがあったので長く家を空ける準備もそこそこに
始まった我家の夏休み。
毎日よく歩いて笑って、いろんなものを見て。
曜日感覚がなくなるまで家族や友達と太陽を浴びて。
夏休みが終わる頃には主人も私も気持ちが軽くなっていました。
世の中眼鏡をかけている人は沢山いるし、成長したらコンタクトにもできるし
技術が進化する現代は手術もできるだろうし。
と前向きに考えられるようになりました。
手術は危険性もあるようですが、成長の過程で説明し
成人したらころころの判断に任せようと思っています。
旅は生きている喜びや、また立ち上がるための時間をくれます。
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